ここにきて、多くの企業が「研修のオンライン化」について議論を進めています。
弊社ではかなり前からオンラインでの講座提供や、動画教材の制作に携わってきているのですが、改めてオンラインの可能性、そしてオンラインの限界について考えてみました。
まず、可能性。
これは非常にわかりやすいですが、zoomというツールの出現によって、ストレスのないオンラインでのコミュニケーションが可能になり、「ブレイクアウトセッション」を活用することでグループワークなども可能になりました。単なる一方通行ではないコミュニケーションは十分にとることが可能です。
一方で、困難を感じることもあります。
それは、講師やファシリテーター側から「場が見えない」ということの大きな影響です。
たとえば、グループワーク中に、グループの中で何が起きているのかが見えず、介入するタイミングがつかめない。全体が1グループであっても、人数が多くなりすぎたらやっぱり全部は見えない。その瞬間に画面に映っていない人が首を傾げていても、簡単に見逃してしまう。
通常のセミナールームでの実施の場合なら自然に見えている「場」が見えない。そして、「場をホールドする」という感覚が持ちづらい。
・・・ということの大きさ。怖さ。
いかに普段無意識に、講師やファシリテーターが「場を見て、感じて、対応して」いるか、ということを如実に感じます。
それでも、参加者本人が「意欲的に参加している」という場合であれば、まだ運用でカバーできる(困ったらチャットしてもらうとか、意識的にリアクションしてもらうとか)。
しかし。。。
これ、普段の研修でよくある「後ろ向きな受講者」がいた場合、まったく成立しない。受講してるフリして、ネットサーフィンでもなんでもできちゃいますし。
そう考えると、実は研修って簡単にオンライン化できるようでいて、「成果」に目を向けたら、実はかなり難しいのではないか?と思いました。
あるいは、テクノロジーのほうが進化して、グループごとの対話の内容を講師が切り替えながら外から聞くことができたり、グループ内部の表情までぱっとみてわかるような、ツールの進化が必要だと感じています。zoomでそのうち実装されるか、あるいは他社が専用ツールを作り込んでくるか。専用ツールなのであれば、AIとかでグループ内のディスカッションを分析して、介入が必要なグループがあるかどうかがアラートであがってくるとか、いろいろできるのかもしれません。あるいはVRに寄せて、実際にクラスルームにいる感じとほぼ同じになるか。
しかし。
どんなにテクノロジーが進化したとしても。
人の感情を汲み取り、それに対して適切な声かけや巻き込みができ、それによって受講者のマインドや考え方に変化を引き起こすことができる、という講師としてのスキルは、リアルであってもオンラインであっても他のものには置き換えられ難い。
結局のところ。
人の心を動かせるのは人だけなのかもしれません。